ID：L-CH0021
データ収集日：2019年12月20日
	聞いた素材：第01回 世界文学の時代へ−本科目のねらい（小野正嗣，宮下志朗，放送大学，2016）
	https://v.ouj.ac.jp/view/ouj/#/navi/player?co=62&ct=V&ca=499（現在は閲覧不可）
行番号	聞いた素材	協力者の発話内容		データ収集者の発話内容	備考
		発話	日本語訳
1	みなさん，こんにちは。世界文学への招待を担当します，	大家好，嗯，我负责担当世界文学，对世界文学的招待。	みなさん，こんにちは。私は世界文学を担当します。
2	主任講師の小野正嗣です。	什么教师的小野正嗣。	なになに教師の小野正嗣です。
3	どうぞよろしくお願いします。	请多关照。	よろしくお願いします。
4	いよいよ世界文学への招待，がスタートします。	终于，对于世界文学的招待，开始了。	いよいよ世界文学への招待が始まりました。
5	さっそくですが，授業の目標とポイントについてお話しします。	嗯，�ｰ紧的我们进入这个课的目标和重点的讲解。	さっそくですが，このレッスンの目標と重要なポイントについて紹介します。
6	え，文学作品は，え，書かれた時代も場所も，ま，私たちの生きる時代とは，ま，遠く隔たっているにも関わらず，	嗯，文学作品跟我们生活的时代和场所有一定的距离，即使这样也不，	文学作品は私たちが生きている時代と場所とは離れているんですが，それでも，
7	読者に，働きかけます。	读者，嗯，在阅读。就是「働く［日本語で発話する］」那个词，但是我不知道中文怎么翻译。	読者が読んでいます。「働く」という言葉を中国語でどう翻訳すればわかりません。
8	え，私たちの生活から遠い，直接的な関係がない，	和我们直接的生活，啊，和我们的生活没有直接的关系。	私たちの生活と直接的な関係がありません。
9	にも関わらず，	即使这样，	それでも，
10	そのような風景に，私たちが，こう没入していく，入っていくことができるのは	嗯，我们还是能够，进入到这样的，风景，就是场景当中。	それでも私たちはそのような背景に入ることができます。
11	一体どうしてなのでしょうか。	这是怎么回事呢？	これはどうしてなのでしょうか。
12	私たちが，作品の中にこう没入する，ま，そこにこう身を任す	我们这样「ボツニュー［日本語で発話する］」到故事当中。	私たちはそのようにストーリーの中に「ボツニュー」する。
13	ことができるとしたらですね，	啊，如果这可以实现的话，	これが実現できれば，
14	もしかしたら作品もまた，私たちのほうに身を任せ，	或许，作品，嗯，后面没太听懂。	もしかしたら作品も，そのあとはよく聞き取れませんでした。
15	こう，包みかくすことなく，すべてを，こう，語っていると考えられます。	什么，嗯，就是，在讲述着全部。	なにかがすべてを語っています。
16				なにがすべてを語っていると思いますか。
17		这个作品。	この作品だと思います。
18	だからですね，こう，私たちのほうも，その作品が，私たちに向けて，こう，寄せてくれる信頼に応えるべく，	所以我们应该回答那个作品的，什么来着，忘记了。	なので，私たちは作品のなにかに答えるべきです。そのなにかは忘れました。
19	作品から届いてくる，ま，声を，正確に聞き取らなければならない。	我们必须要懂得这个作品的就是背后的故事，或者说它要传递的内容。	作品の背後にあるストーリーや伝えたいことについて理解しなければなりません。
20	ま，働きかけることができない，	嗯，「働きかけることができない［日本語で発話する］」。我们不能让它发挥作用。这个「働きかける［日本語で発話する］」因为在中文当中没有直接的那种对译的东西，所以我大概理解它的意思，但是我不知道用中文怎么把它说出来。	えーと，「働きかけることができない」。作品に力を発揮させることはできません。「働きかける」という言葉は中国語で直訳できるものがないので，だいたいの意味はわかりますが，中国語でどう話せばいいかわかりません。
21				そうすると，働きかけるというのは，AがBに働きかけるということなんですけれども，誰が誰にどんなことをすると思いますか。
22		我们读者不能对这个作品就是进行干涉。	読者が作品に対して干渉することができないと思います。
23	そうですよね，書かれたものに僕らがいくら，そこにこうなにか，このストーリーが変わればいいなあとか，人物が，ま，幸せになればいいなあと思ってもですね，ま，作品，その内容はまったく変わらないわけですね。	就即使我们想让这个作品当中人物的结局变得更好啊，或者是想要改变这个文章中的这个内容，但是那是不可能的。	たとえ私たちが作品の中の人物によりいい結果を望んでいても，または，文章の中の内容を変えようとしても，それはできません。
24	作品に僕たちは，読者は働きかけることはできないんですけども，	我们作为读者，不能改变作品的内容。	私たちは読者として作品の内容を変えることはできません。
25	そういう意味では，ま，受動的な行為に見えるわけですね，読書というのは。ただしですね，その作品から，聞こえてくる声にですね，ま，徹底した，こう注意を傾ける，こう耳を澄ませるという意味ではですね，	嗯，「声をかける［日本語で発話する］」。但是我们可以对这个作品当中的内容给予一定的评价和反响。	えーと，「声をかける」。しかし，私たちは作品の内容に対してある程度の評価や反応をすることができます。
26	作品を読む，ということは極めて能動的な行為です。	这种行为是能动的声音。	このような行為は能動的な声です。
27	したがって，ま，文学を学ぶとはですね，	因此学习文化，啊不是，是文学。	なので，文化，あ，文学を学ぶということは。
28	こうもちろん文学を学問の対象として研究することってこともありますが，	当然是把文学作为一个学科去学习。	もちろん文学を学科として学んでいます。
29	それ以前にですね，なによりも作品の声に耳を傾ける，	嗯，以什么以前，在学习这个科目之前，就是把它作为学习的科目，相比，更要说我们去倾听这个作品的内容。	えーと，なにかの前に，その学科を勉強する前に，それを学科として学ぶというよりも，作品に耳を傾けることが重要です。
30	それを学ぶということだと思います。では，	当然这是他认为，因为他说了「と思います［日本語で発話する］」。	もちろんそれは話し手の考えだと思います。「と思います」があったので。
31	作品の声を聞く，その作品の声を聞くっていうことはですね，	倾听作品的声音究竟是怎样一回事呢？	作品の声に耳を傾けるのはどういうことでしょうか。
32	一体，ま，どのような，ことなのか，そこにどのような，こう意味が見いだせるのか，	我们在其中能够找出怎样的意思呢？	その中からどういう意味が見出せるのか。
33	それをより実際的で，より現実的な3つの観点から考えていきたいと思います。	我们想从现实的三个论点去思考这个问题。嗯，这个论点说起来可能有一点不太确切，但是从三个角度吧，去思考这个问题。	現実的な3つの論点からこれを考えていきたいと思います。論点という言葉は適切ではないかもしれませんが，3つの角度から考えると思います。
34	え，まず，1つ目として挙げられるのが，	首先，第一点。	まず1つ目は。
35	文学は他者への共感を可能にする有効な手段であるということです。	文学是能够感受到别人情感的一个手段，就是我们可以和别人产生共情。	文学は他人の感情を感じる手段の1つで，つまり，他人と共感することができる1つの手段です。
36	アメリカの作家，ポール・オースターは，	美国的作家，什么「スタ［日本語で発話する］」。	アメリカの作家のなになに「スタ」。
37	君に物語を語りたい	我想写你的故事。	君の物語を書きたい。
38	という文章の中で	在这样的文字中。	このような文字の中で。
39	作りたい，創造したい，発明したいという欲求は，こう，間違いなく，人間の根源的欲求である	在这样的文字当中去创造去发明这样的，就是去创造去发明这样的欲望，是人根本的属性。	このような文字の中でなにかを作りだそうと，発明しようと，する欲望は人間の根本的な属性です。
40	と書いています。	他写了这样的话。	彼はこのようなことを書きました。
41	どうやらですね，	这怎么说呢。	どういえばいいかというと。
42	こう，しゃべることを覚える以前から，人間は	在我们记得说过的话之前，	しゃべったことを覚える前に，
43	物語の欲求につきうごかされているようなんですね。あのー，子供を見てて，いるとですね，子供放っておいたらなにしますか。放っておいたら，子供は必ず遊びますね。身の回りにあるものを使って遊びだします。	嗯，就放在那儿不管孩子，孩子们会做什么呢，他们肯定去玩儿啊，就玩儿他身边的东西。	えーと，子供を放っておいたら子供がなにをするかというと，遊びだします。彼らの周りのもので遊びます。
44	そして，子供の遊びを見ていると気づくことがあります。	看孩子们的游戏的动作，我们会注意到一些事情。	子供の遊びの動きに注目すると，なにかに気づきます。
45	多くの場合，子供の遊びというのはですね，	很多情况下，孩子们，所谓孩子们，所谓的孩子们的玩儿，	多くの場合，子供の遊びというのは，
46	こう，ま，ごっこ遊びというのでしょうか，	是叫做「コ遊び［日本語で発話する］」。	「コ遊び」という遊びかたです。
47	自分とはこう違う者になる，ということが，中心にある遊びだと思うんですね。	「もどることはできないですか［日本語で発話する］」。	「もどることはできないですか」。
48	子供の遊びの中では，あらゆるものが変身する。ぬいぐるみなどのおもちゃや，棒きれなど，無生物がですね，生き物になってしゃべりだす。あるいはここが，ここではありながら，ここではない場所になります。	或者，在这的东西，什么在那里没有。	もしくは，ここにあるものがほかのところにないとか。
49	押入れが謎の洞窟になったり，あるいはこう，公園のブランコが船になったりですね，	或者，公园的。那个是什么东西，什么什么什么。什么「フネ［日本語で発話する］」。秋千啊还是滑梯啊。	もしくは公園の。なになに。「フネ」なんとか。ブランコか滑り台か。
50	草はらがジャングルになったり，違う場所が生まれます。	不一样的场所产生出现。	違う場所が現れます。
51	また子供自身がね，まったく自分とは違う者になります。その，	孩子们他们自己就成为了，什么客观存在的事物。「つまり［日本語で発話する］」。啊，不是，就是所谓的「もの［日本語で発話する］」。	子供自身が客観的に存在するなにかになります。「つまり」。いわゆる先ほど言った「もの」です。
52	ままごと，ごっこ遊びの本質であるままごとを見ればわかると思うんですけども，小さな子供がお母さんになったり，こうバブーっていう赤ちゃんになったりですね，学校の先生になったり，お医者さんになったりする，あるいはその，変身もののアニメや，こう，あのー，テレビ番組があるようにですね，ヒーローになったり，あるいはこう，プリンセスになったりする，ということが起こる。つまりですね，子供は，	什么孩子成为母亲，然后又看了什么「バングミ［日本語で発話する］」。然后又什么［アニメ［日本語で発話する］」。	子供がお母さんになったり，「バングミ」を見たり，「アニメ」を見たり。
53	ま，自分とは異なる他者をですね，こう，	和自己不一样的别人。	自分とは違う他人です。
54	自分と同じような存在として扱い，同時に自分も他者になる。	把他们作为，啊不是，他们，他们和我们是同样的种类的存在，但是我们会把自己变成别人。	彼らは私たちと同じ種類の存在ですが，私たちは自分を他人に変えます。
55	ま，それが，子供の遊びだといえるんですね。	这个就是什么「子供の遊び［日本語で発話する］」的含义。	これが「子供の遊び」という意味です。
56				子供の遊びというのは，つまり，どういう遊びだったかわかりましたか。
57		我的感觉是说，就比如说我们在看一本书，我们看的这本书它是一个故事，然后这个故事，可能跟我们来说是，我们会对这个故事产生共情，然后把自己当作那个故事的主人公。这是我的猜测。	私の感覚としては，たとえば本を読んでいて，私たちが読んでいるのは，1つの物語で，そして，この物語は私たちにとって。その物語に共感して，自分をその物語の主人公みたいに扱います。これは私の推測です。
58				そうするとその子供の遊びというのは，本を読んで遊んでいるという意味ですか。
59		嗯，不是。	はい，そうではないです。
60				そうですか。
61		他只是举了一个像类比一样的例子，就是说，你在做什么事情的时候，就是，因为他说了你会成为别人嘛，就肯定是要成为跟你不一样的存在。	ただ例を挙げたと思います。つまり，なにかをするとき，前言ったように他人になるので，自分と違う存在にならなければなりません。
62		就是因为这个，视频的主题是关于文学的，然后一开始的时候他又说文学，嗯，是那个读者可以和作品的内容产生共情，所以我就猜测，他刚才举的例子是，我们读书的时候可以在书中成为一个不同的自己。	このビデオのテーマは文学で，そして，最初の話だと，読者が作品の内容に共感できます。なので，前に挙げた例は，本を読むとき，本の中で異なる自分になれるという話ではないかと推測しました。
63	子供たちは想像力をそうやってこう繰りひろげることによって，現実にありながらも，現実とは違う位相にある世界を，ま，作りだしている。	和现实不一样的世界，在书中被创造出来。这是通过作者的想象力。	現実とは違う世界が本の中で作りだされます。これは作者の想像力によるものです。
64	それが，物語，の原型だと思うんですね。	这个是故事，物语的原型。	それはストーリー，物語の原型です。
65	その物語は他者の物語であると同時に自己の物語でもある，	这个物语是别人的物语的同时也是自己的物语。	この物語は他人の物語と同時に自分の物語でもあります。
66	と言えます。	就是这么回事。	このようなことです。
67	さて，その共感，他者への共感っていうことをですね，考えるとき，文学っていうのが，どうしてこう，有効な，それを共感するために有効な手段だと言えるのか。	啊，为什么说文学作品是能够共感他人的手段呢？	文学作品はなぜ他人に共感する手段と言えるのか。
68	それはですね，こう，文学作品，小説ほど，他者の内面というのを明らかにしてくれる，ま，手段	就是越是小说就越能够共感到他人。	つまり，小説であれば小説であるほど他人に共感するんです。
69	っていうのはほかにないからですね。たとえばですね，絶対に，その他者がなにを考えているか，こう頭の中はこう見えないわけです。	实际上，那个，作者他到底在想些什么，我们是不知道的。	実際に作者がなにを考えているのか私たちは知らないんです。
70	しかしですね，小説，	但是呢，	しかし，
71	においてはですね，登場人物の頭の中を，あるいは思考や感情をですね，	在主人公脑中的感情，	主人公の頭の中の感情は，
72	読者が見ることができる。	读者们是可以窥测到的，窥看到的呢。	読者は覗くことができます。
73	彼はなになにと思った，	他在想，他想了什么。	彼はなになにを思いました。
74	彼女はなになにと願った，	她许了什么愿。	彼女はなになにを願いました。
75	などのですね，こう言語形式によって，登場人物の内面が透明になる。	通过这样的文学形式，主人公的心理上的变化是可以变得透明，可以让我们看到。	このような文学形式を通し主人公の心理的な変化を透明になって，見ることができます。
76	それはね，三人称の小説に限らず，	这，不止限于第三人称的小说，	これは三人称の小説に限らず，
77	こう，私や僕，で語られる小説であっても，ま，その	即使是以第一人称，我，去创造的小说也，	第一人称で作った小説も，
78	語り手は，読者である私たちにとっては，ま，現実生活においては，その，内面に，ま，絶対にアクセスすることのできない他者であるわけです。	对于我们这样的读者来说，嗯，忘了。	私たちみたいな読者にとって，あとは忘れました。
79	しかしですね，読んでるうちに，読者は，こう自分とは異なる，その私とか僕っていう語りねの，語り手の，内面に，こう，同化していく。そうやって小説を読むことによって，ま，他者の内面をのぞきみると同時に，それを，他者が自分と同じような欲望や苦悩や矛盾を抱えた，あるいは，複雑な，おきゅ，うきゅ，奥行きを持った，ま，人間，である	但是读着的过程当中，我们读着的过程当中就会，理解到和我们不同的他者的感情。	しかし，読んでいるうちに，私たちと異なる他者の感情を理解することができます。
80	ってことをね，発見する，ということにあります。	就这样的事是我们，嗯，发现的，这就是我们发现的事情。	これが私たちが気づいたことです。
81				ここまでの1つ目の，3つのうちの1つの例が終わるんですが，つまり，1つ目はなんだったと思いますか。
82		文学作品它是可以让我们对他人产生共情的文学手段，我们在阅读的过程当中，可以看到和我们不一样的别人的世界。然后并对这个世界产生理解，接受它。	文学作品は他人と共感する1つの文学手段で，作品を読んでいるうちに自分と異なる他人の世界を覗くことができます。そして，その世界を理解し，受けいれます。
83	文学を学ぶことの意義として，	作为学习文学的意义，	文学を学ぶことの意義として，
84	2つ目に挙げたいのは，	我想给你举出的第二点是，	2つ目に挙げたい例としては，
85	文学は世界への窓だ，ということです。	文学是对于世界的「窓［日本語で発話する］」。	文学は世界への「窓」です。
86	ま，誰もが感じているように，文学は世界について知るための有効な手段です。	对于世界上的任何人都可以理解这是文学的手段。	世界中の誰でもわかるように，これは文学の手段です。
87	しかし，ま，かつては世界文学というときの，ま，世界はもっぱら西洋のことでした。	但是在过去所谓的世界文学这个世界只是西洋那边。	しかし，昔，世界文学の世界というのは西洋のことでした。
88	しかし現在では非西洋地域の文学に対する，ま，関心が，ま，高まっています。	但是现在对于非西洋地区的文学的，热情高涨中。	しかし，現在では非西洋地域の文学に対する情熱が高まっています。
89	そして読まれるようになっています。	变强。	強くなりました。
90	非西洋地域の作品を読むときに，ま，気をつけたいことがあります。	想要注意的点，存在想要注意的事情。	気をつけたいことがあります。
91	作品を，それが書かれた国の社会や文化のネイティブ・インフォーマント，情報提供者として読むようなアプローチは避けなければならない，	文学对于它所存在的那个国家的什么情报提供者，是不能，对于这些情报提供者来说呢，不能忘记「アプローチ［日本語で発話する］」。	文学はその国の情報提供者に対して，その情報提供者としては，「アプローチ」を忘れられません。
92	と思います。まず，ま，自分たちの社会や文化との違い，差異を理解する。そして	首先是对于自己国家的「サヨー［日本語で発話する］」。	まず自分の国に対しての「サヨー」です。
93	差異を越えて，普遍的な人間の経験を共有する。	「普遍的な［日本語で発話する］」。什么什么，然后有共有。	「普遍的な」。なにか。そして，共有。
94	ま，この2つのことが同時になされなくてはなりません。	这个两个事情必须同时，什么「なさる［日本語で発話する］」。没记住。	この2つのことは同時に，なになに「なさる」。あとは忘れました。
95				この2つのことはなにかはわかりますか。
96		一个，嗯，情报提供者，一个，什么「サヨー［日本語で発話する］。	1つは，情報提供者，1つは，なになに「サヨー」です。
97	アラブやアフリカといった，まぁ，私たちから遠い，ま，世界のことになるとですね，	像美国这样离我们很远的国家。	アメリカのように私たちから遠い国では。
98	私たちはどうしても，こう，非常に偏った，歪んだ，ま，イメージ，ま，ステレオタイプ，紋切り型，な，ものの見かたをしてしまいます。ま，そういうのを，ま，シングルストーリー，と言ってもいいと思うんですけども，	「シングルストーリー［日本語で発話する］」。我们对于这些对我们很远的国家有一种想要知道，想要去了解的这样的，欲望，然后这种欲望就成了我们的「シングルストーリー［日本語で発話する］」。	「シングルストーリー」。私たちはこのような遠い国に対しては，その知りたい，理解したい欲望があって，その欲望が「シングルストーリー」になります。
99	優れた文学作品は，	优秀的文学作品，	優秀な文学作品は，
100	こう，読者の心を揺さぶることによって，読者の目を，ま，複雑で多様で矛盾に満ちた現実へと向ける，つまりそういう現実から目を背けさせ，思考停止させるようなシングルストーリーの，ある種，こう，膜ですね，あるいは壁を，文学作品が取りのぞいてくれると言えます。	优秀的文学作品可以消除我们什么的偏见。因为他刚才说到了什么「壁［日本語で発話する］」。就是穿越城墙。	優秀な文学作品は私たちのなにかに対する偏見を消します。先ほど「壁」を超えるという言葉があったので。
101	すので，あの非西洋地域の文学を読む際に，もしもそこでですね，こう，自分があらかじめ，まあ予期していた，あるいは知っていたイメージを，こう発見する，あるいは確認するだけだとしたらですね，私たちの目は，	若是只是通过文学作品去确认我们对于那个地方的，或者说我们对那个地方以知晓的内容的话，	もし文学作品だけを通して地域やその地域に対して既に知っている内容に対して，確認しようとしたら，
102	こうなにも見ていない，	我们的眼睛反而会什么都看不到。	私たちの目はむしろなにも見えなくなります。
103	あるいは私たちの耳はなにも聞いていないということになるかもしれません。	我们什么都没听到，会变成这样的一种结果。	なにも聞いていない結果になります。
104	ですから，こう自分の読みがシングルストーリーを確認するだけのものになっていないか，	自己的「読み［日本語で発話する］」。只是，读取了这个「シングルストーリー［日本語で発話する］」么？	自分の「読み」。これが「シングルストーリー」を読みとったということになるのか。
105	絶えず，自己検証を行う必要があります。	绝对是有必要进行「自己検証［日本語で発話する］」。自我反省。	必ず「自己検証」をする必要があります。自己反省。
106				ここまでで，2つ目の意味ですが，この2つ目の意味はまとめるとどんなことだと思いますか。
107		嗯，就是我们虽然说会对作品产生共情，但是在这个共情的同时呢，我们也要对我们现实生活或我们理想中的那个生活反省一下。	作品の中の内容に共感しますが，それと同時に現実生活や理想の生活にも反省する必要があります。
108				それと情報提供者とはなにかとどういう関係があると思いますか。
109		［6秒間無言。］不知道。	［6秒間無言。］わかりません。
110	文学を学ぶことがもたらす3つ目の意義は，	通过学习文学所带来的第三个意义。	文学を勉強することを通してもたらされる3つ目の意義。
111	文学は母語の感度を高める最良の手段であるということです。	文学是我们的直觉，什么最有效的手段。	文学は直感がであり，なになに最も有効な手段です。
112	美しい本は一種の外国語で書かれている，という言葉があります。	有这样一句话。漂亮的书用外语书写。「美しい［日本語で発話する］」。	こういう言葉があります。きれいな本は外国語で書かれています。「美しい」。
113				外見が美しいですか。「美しい」とはどういう意味ですか。
114		就是文字优美的书。	文字が美しい本です。
115	誰が言った言葉だか，みなさんご存知ですか。	是谁说的这个话呢，大家知道吗？	誰が言ったのか，みなさん知っていますか。
116	フランスの作家のプルーストの言葉です。	法国作家的「プルース［日本語で発話する］」说的。	フランスの作家の「プルース」という人が言いました。
117	このプルーストの言葉にあるように，ま，近代以降の文学において，個々の作家はですね，こう，母語をいわば，外国語のように書くことによって，	就像这个法国作家说的那样，近代以后的文学作品中，母语反而用外国的话去怎么样。	このフランスの作家が言ったように近代以降の作品の中では，母語がむしろ外国語でなにかをする。
118	こう独自の文学言語を確立しようとしてきました。	特别是自己的独特的言语。	特に自分の独特な言語です。
119	それで，外国語っていう，ま，言葉がでてきましたけども，	刚才出现了外国语这个词汇，	先ほど外国語という言葉が出てきたんですが，
120	世界文学を学ぶということと，	学习世界文学这件事和，	世界文学を学ぶということと，
121	外国語を学び，知ることにはですね，	「まなぶしる，まなぶ[日本語で発話する]」和学习外国语这个事，	「まなぶしる，まなぶ[日本語で発話する]」外国語を学ぶということは，
122	僕はこう深い関係があると思うんですね。	是有很深的关系的。	深い関係があります。
123	たとえば外国語を学ぶことにはですね，他者の文化や社会を知る，	在学习外国语这件事上，别人的文化和社会	外国語を学ぶということにおいて，他人の文化や社会，
124	ま，その，最初の入り口であるという有用性だけではなくて，その有用性だけではなく，ま，異なる語の響きや異なる言葉のこう，つくり，形に，ま，触れる喜びがあると思うんですね。	不只是要知道别人的文化跟社会这个事，还有一种快乐是接触不一样的，叫啥，就是，和我们现在所学习的那种不一样的，嗯，地方。	他人の文化と社会を知るということだけではなく，もう1つの喜びとしては，私たちが普段触れるようなものとは違う，つまり，現在学んでいることとは違うところです。
125	で，翻って文学を考えるとき，たとえば詩を読んでください。詩を読むときに，	什么，读什么。	なにか，なにかを読む。
126	う私たちは，あの，言葉が伝達する意味だけではなくて，	「伝達［日本語で発話する］」。我们并不是要传达言语，	「伝達」。言葉を伝えるというわけではなく，
127	ま，それぞれの言葉が持ってる，響きだとか，これ，	各种各样的言语所有的「響き［日本語で発話する］」。	さまざまな言語の「響き」。
128	リズムだとか，あるいはこう，抑揚とか，言葉の配列とかですね，そうしたものに，こう注意を傾けますね。	「リズム［日本語で発話する］」等，我们还要注意，就是言语的，「響き［日本語で発話する］」和「リズム［日本語で発話する］」这样的东西。	「リズム」など，「響き」と「リズム」のようなものに気をつける必要があります。
129	で，よく考えると，これは，こう，外国語を学ぶときの，まあ，経験にこう非常に近い，言葉そのものへ，こう，意識を向ける，という点ではですね，	在只注意「言葉［日本語で発話する］」。在只注意语言这一点上，	「言葉」だけに注目する。言語だけに注目するということにおいては，
130	あの，文学を学ぶことと，外国語を学ぶことにはですね，	在学习文学和学习外国语这两件事上，	文学を学ぶことと外国語を学ぶことにおいて，
131	深い親近性があります。	应该是有，确切的，不是，有亲密的关系。	たぶん適切な，あ，じゃなくて，親しい関係があります。
132	だからですね，僕は，あの，外国語をね，より，学べば学ぶほど，よい文学の読者になると思うんです。	我们外国语学的越好我们就会成为更好的读者。	外国語をよく学べば学ぶほどいい読者になります。
133	で，放送大学には，あのほんとにこう，さまざまな外国語の授業が，あの用意されてますので，	在放送大学里面有很多学习外国语的资料呀，资源。	放送大学では外国語を学ぶ資料や資源がたくさんあります。
134	みなさんぜひですね，あの，いろんな外国語に触れてもらいたい，こう，ぜひ学んで	我很想让大家来接触一下这些外国语。	みなさんにこれらの外国語に触れてほしいです。
135	もらいたいと思います。そしてですね，外国語を学ぶにつれて，	随着我们学习外国语，	外国語を学ぶにつれて，
136	自分の母語の見かた，あるいは母語への接しかたもですね，当然変化してくるんです。	我们母语的，我们看待母语的角度，就是我们接触，我们对待我们的母语的想法也会发生变化。	母語を見る角度が，つまり，母語に対する考えかたも変化します。
137	つまり，それが，母語に対する，ま，感度が，より研ぎすまされていく，ということにつながっていくと思います。	所以，总而言之，这就是我们对于，怎么说，与其，哎呀，我又忘记了。	つまり，要するに，なんといったらいいか，えーと，また忘れました。
138				そうすると，これが3つ目の意義なんですけれども，最初に文学は母語の感度を高める最良の手段であると言っているんですが，外国語とどういう関係があると思いますか。
139		按照这个人的说法，他说，学习，如果你学了外国语之后你再去读什么东西可以反过来去反思我们的母语。	この人の話によると，もし外国語を学んでからなにかを読むと，母語について内省することができます。
140		我可以举我自己的例子吗？	自分の例を挙げてもいいですか。
141		就比如说我学习了日本语之后，然后尤其是接触了日语的汉字，我才发现我对中国的，就是我母语中国语的汉字的理解其实是不足的。	たとえば私が日本語を学んだあと，特に日本語の漢字に触れたあとから，自分が中国のつまり，母語の中国語の漢字に対する理解が足りないというとこに気づきました。
142				それと文学はどう関係してくると思いますか。
143		文学它不只是只有字面上的东西，它还有，那个作者他国家的文化和社会背景。所以说当我们看到一个新的世界之后，然后把这个世界的情况跟我们母语，就是我的母国的情况进行对比，肯定是能够从这当中得到一些至今为止我们没有发现到的启发。	文学は文字通りの意味だけではなく，作家の国の文化と背景とも関係あります。なので，私たちは新しい世界を見たあと，この世界の状況と自分の母国の状況とを比べて，その中から必ず以前気づいていなかったことに気づくと思います。
144	［以下略］	［以下略］	［以下略］	［以下略］	［以下略］